初めまして、アプリ開発を担当している エモト と申します。手元にSHIROBAKOのムビチケがあるのに、昨今の事情で映画館に行けず、モヤモヤしております。昨年秋に入社して、いつかはブログを書こうと思って気付いたら今日となりました。よろしくお願いします。
さて昨年末、弊社のiOSアプリは Siri Media Intents に対応しました。
「Hey Siri, {作品名}をオーディオブックで再生して」
と呼びかけると、Siri経由でアプリのライブラリ内にあるオーディオブックが再生されます。ぜひお試しください。
弊アプリは、React Native(以降、RN)でアプリ開発を行っています。クロスプラットフォーム開発のRNでSiriが実装できるの!?と思う方もいるかと思います。RNでのSiri開発を少し話したいと思います。
なお、以降文中のネイティブ開発は、Xcodeを使ったSwiftやObjective-Cでのアプリ開発を指します。
Siri Media Intents と React Native
一般的なネイティブ開発での Siri Media Intents の実装は、Siriが命令を受けると、Intent側の handle(intent:completion:)
からアプリ側のメソッド application(_:handle:completionHandler:)
が呼ばれます。そのメソッド内でアプリ側の処理(今回はオーディオブックの再生)を行い、Siriへ完了コールバックを送ります。ここで、弊社アプリはRNを採用しているため、RN側で処理を行う必要があります。
RNには、SwiftやObjective-Cで書かれたネイティブモジュールを用いて、ネイティブ 側とやりとりできる機能があります。それを利用して、Siriから受けた情報をRNに送り、RNで再生制御を行いました。
最も苦労した点の1つは、RN側の再生処理の結果を application(_:handle:completionHandler:)
の中で受け取らなといけないことです。ネイティブからRNへにイベントを送る処理は情報を送るだけで、再生完了コールバックのデリゲートやクロージャを設定することはできません。あまりスマートではないですが、RN側で処理が完了したらネイティブ側に完了フラグを通知する、ネイティブ側はそのフラグが立つまで待つというアプローチを取りました。
// React-Nativeからの完了を受け取る var isSucceededFromRN: Bool? @objc( SiriCtrl ) class SiriCtrl: RCTEventEmitter { } extension SiriCtrl { // React-NativeからNative methodとして、Intentの完了メソッドを呼ぶ @objc(completeSiriHandler:) func completeSiriHandler(isSucceeded: Bool) { DispatchQueue.global().async { isSucceededFromRN = isSucceeded } } /** AppDelegate の application(_:handle:completionHandler:) の中で用いるメソッド */ func application(_ application: UIApplication, handle intent: INIntent, completionHandler: @escaping (INIntentResponse) -> Void) { if #available(iOS 13.0, *) { guard let playMediaIntent = intent as? INPlayMediaIntent, let mediaItem = playMediaIntent.mediaItems?.first, let title = mediaItem.title else { completionHandler(INPlayMediaIntentResponse(code: .failure, userActivity: nil)) return } // 完了判定フラグを初期化する isSucceededFromRN = nil // React Nativeに再生イベントを投げる self.sendMediaInfoToReactNative(title: title) // RNから完了判定が帰ってくるまで待つ self.waitAsyncCallback({ isSucceededFromRN == nil }) { var code: INPlayMediaIntentResponseCode = .failureRestrictedContent if let result = isSucceededFromRN, result == true { code = .success } completionHandler(INPlayMediaIntentResponse(code: code, userActivity: nil)) } } } } extension NSObject { /** 処理完了を待ってから、後続処理を行う */ func waitAsyncCallback(_ waitContinuation: @escaping (() -> Bool), completion: @escaping (() -> Void)) { var wait = waitContinuation() let semaphore = DispatchSemaphore(value: 0) DispatchQueue.global().async { while wait { DispatchQueue.main.async { wait = waitContinuation() semaphore.signal() } semaphore.wait() Thread.sleep(forTimeInterval: 0.01) } DispatchQueue.main.async { completion() } } } }
非同期処理の待ち処理は、こちらの記事 【Swift 3】処理の完了を待ってから後続処理を行う - Qiita を参考にしました。ありがとうございます。
まとめ
React Nativeと聞くと、SwiftやKotlinなどのネイティブコードは不要のイメージがあるかもしれません(私も最初はそうでした)。しかしながら、今回のような固有機能の実装時には適宜ネイティブコードを使用しています。
最後に、オトバンクではエンジニアを募集中です。もし、日頃はSwiftやKotlinを書かれてる方でも、オーディオブックや、React Native開発に少しでも興味があれば、是非どうぞ。
お待ちしております。